しいサル王は運がよかったのでしょうか、東南風が吹き続けて彼を西北岸まで運んでくれました。彼は木筏から降りて岸に上がりました。岸辺ではたくさんの人々が働いているのが見えました。魚を捕まえたり、空から大雁を打ったり、蛤蜊を掘ったり、塩を採ったりしていました。彼はそっと近づいて行きましたが、思いがけず、人々はを投げ捨てて、あちこちに逃げ出しました。
この日、彼は高い山の前に来ました。すると山の中腹の林からしい歌声が聞こえてきました。歌っているのは仙人になることについての言葉でした。サル王は思いました。この歌っている人はきっと神仙だろうと。そして歌声に沿って探しに行きました。
歌っているのは森の中で薪を切っている青年で、猿王はこの青年の口から、この山は霊台方寸山という名前で、ここから七八里のところに斜月三星という窟があり、窟の中には菩提祖師という仙人が住んでいると知りました。
猿王は薪を切っている青年と別れて、森を出て山坂を歩きました。すると遠くに窟が見えました。窟の門はぴったりと閉まっていましたが、門の向かいの山の上には一枚の石碑が立っていました。石碑は三丈ほどの高さと八尺ほどの幅があり、上には「霊台方寸山斜月三星」という十文字が書かれていました。見ているうちに、門が突然開きました。中から一人の仙が出てきました。
猿王は急いで近づいて深々とお辞儀をし、自分の目的を説明しました。すると仙は言いました。「私の師匠は今ちょうど道を説いていたんですが、急に私に出てきて門を開けろと言われました。外に拝師学芸の者が来たと言うんです。それがあなたなんですね！私についてきてください！」猿王はすぐに服装を整えて、仙に従って窟の中にりました。祖師が道を説いている法台の前に着きました。
猿王は菩提祖師が台の上にまっすぐに座っているのを見て、台の下に両側に立っている三十人ほどの仙たちにすぐに跪いて頭を下げました。祖師は彼の目的を聞き清めて、とても喜びました。彼に名前がないことを知ると、「あなたは悟空という名前にしましょう！」と言いました。
祖師は孫悟空に他の師兄たちにも挨拶させて、悟空に空き部屋を見つけてくれました。それから悟空は師兄たちと一緒に生活常識や経典を学び、字を書いたり香を焚いたりしました。暇な時には掃除や水汲みなどの仕事をしました。
あっという間に七年が過ぎました。ある日、祖師が道を説き終えた後、悟空に何の技能を学びたいか尋ねました。孫悟空は祖師が何を言おうと神仏に祈ったり座禅を組んだりすることは聞きませんでした。長生不老できないと聞くと、学びたくなかったのです。菩提祖師はこれに非常に怒りました。
祖師は高台から飛び降りて、手に持った戒尺で孫悟空を指さして言いました。「お前はこのサルめ、これも学ばない、あれも学ばない、何を学びたいのだ？」と言って悟空の頭を三回叩いて、後ろ手にして中にり、ドアを閉めました。師兄たちは師父が怒ったのを見て、とても怖がって、みんな孫悟空を責めました。
孫悟空は怖くもなく、怒ることもなく、心の中ではとても嬉しかったです。その夜、悟空は寝たふりをしましたが、夜中になるとこっそり起きて、前の門から出て行きました。三更になると、後ろの門口に回って、門が半開きになっているのを見て、とても嬉しくなって、心の中で思いました。「ははは、私は師父の意図を見抜いたのだ。」
